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「2021年」インフルエンサーに見られるブランディングの要素

おはようございます。けうです。

 

田中森士さんの「カルトブランディング-顧客を熱狂させる技法」を読んでいます。

前回はカルトブランディングとは何かを説明しました。
>>カルトブランディングとは何か

カルトとつくのはカルト宗教からヒントを得ているから。

「カルトブランディングとは、人間、組織を『好きなブランドのためなら身を捧げる信者』に変えるプロセスのこと」

だと説明しました。

 

今回は、カルトブランディングが必要な理由と、実践の具体例を紹介したいと思います。

 

カルトブランディングが必要な理由。

なぜカルトブランディングがでてきたのかというと、既存のマーケティング・ブランディングが限界を迎えてきたからだと筆者は述べます。

例えば、私たちはインターネットを見ると、広告に自分の欲しいものがピンポイントで載っていることに気が付きます。

これは、AIが私たちの行動や興味などをアルゴリズムから推測して、この人は今、こんなものが欲しい可能性が高い、と思われるものを映し出しているからです。

以前のマーケティングだと、消費者の欲を探って、消費者が欲しいものを提供する。

この欲が重要視されていました。

けれど、これはAIが勝手にやってくれるようになった。

無意識にネットサーフィンをするだけで、私たちは自分が欲しいと思っているものを映し出してもらえるようになったのです。

すると、無意識の間はいいのですが、それを意識しだすときがきます。

なぜ、自分の欲しいものがピンポイントで映し出されるのか、と。

そこにブランドや広告の下心が購買者には見えるようになるといいます。

筆者は「下心」は消費者の購買意欲を瞬時に減退させる、と言います。

心理的リアクタンス効果

心理学用語でも、心理的リアクタンスという言葉があります。

人は自由を制限されるものを破りたがる性質がある。

例えば、子どもに勉強やりなさいと勉強を押し付けるとかえってそれをやりたがらないような心理学用語です。

なので、「これが欲しいんでしょ?」とAIに提示されると、その意図を嗅ぎ取った人はそれをかえって購買しなくなる、といった現象です。

 

すると、従来のマーケティングでは、商品が売れなくなる。

しかも、従来の売り方ならば、AIに任せておけばいい、となります。

そんな中、出てきたのがカルトブランディングです。

カルトブランディングは人間味を帯びている

カルトブランディングは人間味を帯びています。

・そのものを信頼してもらうことで、長きにわたり好きになってもらう。
・意味を求める人々に「意味」を提示する
・孤独を感じる現代人に「幸福感」を与える。
・価格の価値に振り回されない。
・敵を作り出してそれに対抗する

この視点から見れば、AIにできにくい人間ならではのもの。

それらがカルトブランディングを生み出す要素になっています。

 

例えばという例で本書ででてくるのがAI囲碁。

AIが強くなって、もうほとんど人間はAIに勝てなくなってきました。

囲碁でも将棋でも、AIが効率よく勝てるようになってきたのです。

ところが、私たちは勝つことだけが目的で見ていたのではないことに気が付きます。

人間らしい失敗。

その失敗を挽回する切替し。

その人独自の打ち方。

そういったものに人間特有の「美学」を感じて、それに対して囲碁や将棋が好きになっていた面があることに気が付いたのです。

AI同士が打っている囲碁や将棋は見ていてもあまり面白みがないと言われています。

私たちはそこに自分の熱狂しているものや、好きなもの、そのようなカルトブランディングにあるような要素を感じているのです。

カルトブランディングに必要なこと

AIにできないことがカルトブランディングの要素を占めています。

例えば、現代は情報の透明化が進んでいます。

嘘をつくと、すぐにその嘘がSNSで暴かれて発信されてしまいます。

「情報の透明化が急速に進んでいる」

AIのアルゴリズムはわからないことだらけですが、私たちは事業を立ち上げた人に信頼を置く、信じることで信者になろうとします。

筆者はカルトブランディングで重要なのは情熱と思いやりが入った「愛」だと語ります。

その企業のことをよく知る。

知った上で自らが意識的になってそれを自分から信頼する。

さらに伝道師となって口コミをする。

そして、それをするのが個人の「自己実現」を達成させるための手段にまで昇華させます。

例えば、昔のビジネスとの違いとしてこのような例を筆者は提示します。

「20世紀のビジネスは、『原価がバレない』ようにすることが何より重要だとされてきた。しかし、隠し事のできない、あらゆるものの「透明化」が進む世の中にあっては、むしろ積極的に情報を出した方がメリットは大きい。消費者からの信頼を勝ち取ることができる。そして、『原価』は、消費者が欲しがる情報の最たるものだ。」

このように、信頼もさせ、従来の常識も覆し、しかもその人が自分のイデオロギーを強く持った状態。

こうなってくると、カルトブランディングが出来上がっていくと言います。

カルトブランディングが必要な理由ーまとめ

私はこのカルトブランディングの話を聞くと、どうしても今立ち上がってきている音声メディアを思い浮かべてしまいます。

音声メディアはその人の人間味があふれている。

一度その人のものを聞きだすと、習慣化してつい聞いてしまい他に手をだしにくい。

その人が進めているのだから買おう、と決めてしまう。

などなど、AIにできない事として、声に注目が高まっているのかなと考えました。

機械の音声だと感情がよくわからない、ということがあります。

人はAIの手が行き届かないところに需要を求めて、人間らしさに需要を求めていくのかなと思いました。

 

このカルトブランディングは今の人とあまり会うことが出来ない状況において、時代が変わってきたからこそ、時代の価値観の変容とともに出てきたと捉えることができると筆者は述べます。

哲学者マルクス・ガブリエルもこの時代だからこそできることがあるし、倫理観を今一度省みようと述べています。

彼も革新的なイデオロギーを打ち出していると感じます。

インフルエンサーでなくても、哲学界においても、今人気があるような人にたいしても、カルトブランディングの要素がある。

今、人気のある人に対しては、このカルトブランディングの要素をとても感じることができると、私は思いました。

その要素を分解するという意味においても、カルトブランディングは知っておきたいですね。

では、お聞きいただいてありがとうございました。

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