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「フードテック革命」を倫理と経済の面から紹介

おはようございます。けうです。

 

フードテック革命 世界700兆円の新産業『食』の進化と再定義」を読んでいます。

フードテック革命と倫理

なぜこの「フードテック」に関心を示したのかというと、私は最近マーケティングに興味があるのですが、それと共に哲学の動向も気にしています。

哲学の分野、特に倫理の分野で言えば、今の食品の状況は良くない、と言えます。

例えば、哲学者マルクス・ガブリエルは世界の貧困に目を向け、貧困で生きられない個々人にも焦点をあてます。

そうしたときに、従来の食品のあり方だと、その食品が困っている個人に届かない。

何かの企画が倒れたときに、食品が大量に無駄になるというのはニュースでよく流れています。

私たちはそれを良くないことだと思いつつ、それをどうにかする具体的な策がまだない状況、知らない状況にある。

この良くない現実を聞くと一部の人は言うかもしれません。

「世界には食べられない人もいるのだから、残さず食べなさい」と。

しかしそれは、今の世の中においては、世界の不健康市場の伸びと比較してみると、その価値観によって肥満になったり、健康を害したりするほうが「もったいない」ことになります。

 

もしそれを技術的に解決する手段があったとしたら?

私は食に関心を持ちつつも、具体的な知識や技法を学んでこなかったことに気が付きました。

そうした中、本屋さんで目にした「フードテック革命」にとても興味をひかれたのです。

フードテック革命における倫理観からみる2つの考え方

倫理の分野においては、二つの考え方があります。

①昔に戻るべきだ、という考え方。
②もう一つは、最先端の技術に頼るべきだ、という考え方。

世界の倫理を考えるには、最新の技術に頼らざるをえないと私は思っています。

 

時代は移り変わっていって、その中で昔に戻るということは、昔とは違う状況なのに昔に当てはめてしまうことです。

例えば、天動説から地動説に移り変わったのに、再び天動説の中で議論を組み立てようとするようなやり方です。

哲学者でいえば、ハイデガーは人は技術に組み込まれたら最後、テクノロジーそのものを否定することは出来なくなる、と言います。

こうとらえると、現代で生きることがすでにテクノロジーに組み込まれていることだと私は考えます。

パラダイムシフトの前の価値観に無理やり戻ることは難しいと思うからです。

なので、新しい技術を応用しながら、その中で現代の問題を考えていくのがいいのではないか、と。

 

その考え方の指針になるのが「フードテック革命」だと、本を読んで感じました。

鵜呑みにするわけではなく、事実を知り、考えていく上での情報という意味で、技術革命を知ることは、新たな知の枠組みを構成していきます。

では、本書も紹介してなぜフードテックが注目されているかを見ていきます。

フードテックが注目されている理由

本書では、なぜ今「フードテック」が注目されているのか、という疑問に対して、分かりやすいのは「市場規模のポテンシャル」だと述べています。

「スマートキッチンサミット2017」では、創始者のマイケル・ウルフ氏がこう述べたそうです。

「世界のフードテックの市場規模が2025年までに700兆円規模に達する。」

この数値は聞いただけではぱっとわかりません。

比較をすれば、2019年の世界のフードシステムの年間市場価値は1077兆円。

新しく立ち上がってきている分野が、従来のフードシステムの三分の二にまで上るというのは、この業界が伸びていくのだろうことを予想させます。

フードテック技術が世界に発信される具体例

例えば、2019年に植物性プロテインを用いた代替肉を世界最大の技術見本市で発表したところ、それ以降そのお肉が世界で取り扱われるようになりました。

マクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどが、その技術を取り入れるようになったのです。

企業側が世界に増えているお肉を食べない層の需要をいち早く取り入れたのです。

 

このように、新規産業ではあっても多きく伸びる可能性の塊、このようにフードテックは解釈されています。

倫理観から見ても、産業面から見ても需要がある分野だといえます。

フードテックをより考えていくための2つの視点

より「フードテック」を考えていきたい視点を紹介していきます。

1,フードシステムのマイナス面

フードシステムの年間市場価値は1077兆だと言われていますが、フードシステム自体が引き起こしている健康や環境、経済へのマイナスの影響が1292兆円。

マイナス200兆円。

今のままだと、経済的にも負担が目立ちます。

そしてこの事実から言えること。

「つまり、我々現代の人間は、食べれば食べるほど体の外も内も傷ついていくという状況だ。」

例えば、世界の貧困層の人々の方が、今は太っていると言われています。

安い食品が人々を太らせる傾向にあるから、と言えます。

さらに、世界で生産されている全食品のうち、3分の1が廃棄されているという現実がある。

ニュースで取り上げられていなくても、そういった事実は日常的に発生しています。

人がつくり出した問題は、人が解決しないといけない」と本で述べられていました。

2,フードシステムからみる私たちの生活の質

さらに考えていきたいのは、私たちの生活の質でもあるかもしれません。

本ではこう述べられています。

「料理や買い物など、時短や効率を追求した結果、人々はどういう状態に陥ったか。それは肥満である」

今までのフードテックでは安い・早い・おいしいを追求していったのですが、その空いた時間に何をするかというような提供がなかった。

なので、人はその空いた時間を「おやつを食べる時間」に費やしたと言われています。

だから、肥満が増えてしまったのだ、と。

今までの安い・早い・おいしいから、人が幸福感をさらに上げることができるような技術、新しい価値観を提供すべきなのではないかという視点です。

この価値観の提供は、まだまだ私たちが知らなかった人の根源的な欲を刺激する可能性があると言います。

「食に求める必要とされる価値観がくすぶっている可能性が十分にありそうだ」という趣旨も本では述べられていました。

価値観も作り出すものだといえます。

 

そういえば、と日本の家庭を見渡せば、最先端の技術が応用されていないアナログな印象を私は覚えています。

けれど、料理を技術面でみていけば、料理はとても科学的で精緻なものにとんでいるのだと気が付かされます。

低温度で作ると栄養を破壊しないとか、何分焼くのがおいしい、とか。

家庭の食とテクノロジーの一致が、人の価値観も変える、世界の価値観も変える、そのような可能性があるということを本では語っていました。

フードテック革命-まとめ

今、知識人は肉を食べない、こんなことを私は聞いたことがあります。

肉を作る過程で地球を破壊する規模が大きいからです。

でも、私はお肉を食べたい。

そこには動物としての人間と、頭で考えた理性的な人間との葛藤が見て取れます。

私は本での「人が作った問題は、人が解決するべきだ」という思想が印象に残りました。

 

しばらく、フードテックについて取り扱おうと思います。

この分野は前回扱ったカルトブランディングにも応用がききます。
>>カルトブランディングとは

新しい技術体験がつまっている。

新たな価値観を提供している。

例えば、活動家グレタ・トゥーンベリさんもその一人と言えそうです。

現代の若者世代の環境問題に対する意識は高くなってきている。

なので、倫理観もプラスされつつ、それを追求していくことで生活に困らなくなる(お金が入って来る)ようになる、ということ。

従来の、価値を提供するため、人々のためになるというようなブランドが立ち上がっているといえます。

 

では、今日もお聞きいただいてありがとうございました。

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