「人間としての自覚」
第6節「芸術と人生」
ゴッホと芸術
「美しい」「嬉しい」「悲しい」「楽しい」……。一瞬一瞬に生身の体で感動することによって、人は、自己の価値基準を生み出し、現実を現実として自分のものにできるのである。それが「生きる」ということである。だからこそ、本当の感動を知っている人は、強い。
(「すべては音楽から生まれる」p18 茂木健一郎)
>>クオリアをわかりやすく
アーティストというのは、「なにかをキャッチする力」を持った人間です。身のまわりで起きていることを、常に観察している人たちなのです。加えて、アーティストというのは、生きるために他者を必要としている人たちでもあります。だから、作品を通して「なにか」を提案するのです。であればそれは、必然的に、人が「生きやすくするための提案」であるはずです。
(「すべては音楽から生まれる」p164 茂木健一郎)
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簡略化して紹介
- ゴッホの人生
- 芸術家の紹介
ゴッホの人生
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)は、オランダの画家。
ゴッホは2100枚以上の作品を描いたといわれ、そのうち自画像を40枚ほど描いています。
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>>asdとは
ゴッホとキリスト教
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(青い色はキリスト、黄色い色は天使を表現。
‐それらによって神を信じる心を力強く表しているといわれています。
ただし、この作品は後期に描いたもの)
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ゴッホとゴーギャン
ゴッホは画家ゴーギャンと共同生活をすることになります。
ゴーギャンに負けじと描いた頃の作品はこちら。
「ゴッホ ひまわり」
(厚塗りで伝わるヒマワリのぼってり感が特徴的)
「ゴッホ 夜のカフェテラス」
(当時の人々は夜をあまり描かなかったと言われています。
その中でランプの光と静かな星空が印象的な作品。
左はその場所だろうイメージ写真)
ゴッホはゴーギャンと性格が合わず、二か月で共同生活は破綻。
ゴーギャンとの喧嘩の後に、ゴッホは自分の左耳を切り落とす事件をおこしました。
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ゴッホの悩み
精神病院に収容されたのですが、ゴッホは絵を描かずにはいられませんでした。
(アルル病院の写真)
アルル病院や、他の療養所などで約一年は療養生活を送ったと言われています。
病院にいるゴッホを支援するテオですが、その頃テオ自身にも不幸が襲います。
仕事がうまくいかず、自分の息子も病気になってしまいました。
そんな感情を、テオはゴッホについぶつけてしまいます。
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ゴッホの自殺
ゴッホは拳銃で自殺したと一説にいわれています。(諸説あり)
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ゴッホに影響された人
ゴッホはさまざまな人物に影響を与えました。
ゴッホの死後20年後、ヘレーネ・クレラーはゴッホの絵を集めて美術館を設立。
彼女はゴッホの絵の虜になったのです。
絵から伝わるのは感動。
ゴッホの悲しさ、人間らしさ、同じ悩み。
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ヘレーネはゴッホの才能を正しく評価した初期のコレクターの一人です。
彼女も死後に評価されました。
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ゴッホから学ぶ芸術とは何か
私はある小論文の題材からゴッホに興味を持ったことがあります。
「人に迷惑をかけてはなぜいけないのか?」
この例題の一つに、ゴッホの人生があげられていました。
ゴッホの人生をテオの視点から見てみれば、「迷惑」そうです。
「迷惑」だと思われる点
- 援助するも、トラブルの連続(ゴーギャンとの破局、耳切り取り事件)
- 少しでも送金が遅れると自分の芸術を損なうものだと言ってテオをなじる
- 送金が少なかった時には食費を切り詰めて体を酷使したため、歯は次々欠け、体も衰弱
それにもかかわらず、ゴッホが亡くなるとすぐにテオも後を追うように死んでしまいました。
ただ迷惑をこうむっていたわけではない、と解釈できます。
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ゴッホの絵は見るものに感動を与えます。
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芸術を見る他の観点
このブログでも芸術についてさまざまな考察をしています。
歴史的にはどのようなものを芸術品とみなしてきたのでしょうか?
話題になった「13歳からのアート思考」(末永幸歩 2020)は芸術の歴史を語ります。
>>アート思考の要約
芸術品は目でみて美しい、という時期もあったのですが、発見や斬新さが芸術品になる、という美の価値観の移り変わりでもあります。
セザンヌ
「セザンヌ 松の木のあるサント・ヴィクトワール山」
(故郷の風景を描いた絵。
セザンヌは「自然に即して」絵を描くことの重要性を述べている。
日本の浮世絵に影響をうけたもの)
ピカソ
「ピカソの絵」
ピカソは写実も上手だということは左の絵からわかりますが、あえて表現を自由にした絵を描きました。
絵の描き方に決まりはない、そう考えていたそうです。
ピカソは恋多き人。
彼(ピカソ)はすべてのことを深底まで知らねば気がすまず、その中に何が隠れているか見ようとしてそれを壊してしまうのです。
「愛と欲望の世界史」p112 (堀江宏樹)
ピカソは絵を描くために必要なインスピレーションを湧き起こさせるために恋をした、とみられる面もあります。
他にも、本物の芸術とは何かを説いたベンヤミン。
>>本物と偽物とは
芸術とイデアとを関連させて考えた哲学者にショーペンハウアー。
>>ショーペンハウアーにおけるプラトンのイデアとは
絵画、哲学、宗教、音楽、文学…さまざまな芸術品は、私たちの美的感受性をゆたかにしたり、他人の心を感じ取らせたりします。
ショーペンハウアーはこの芸術を感じ取る能力を「天才性」と表現していました。
>>天才と秀才の違いとは「ゲンロン戦記」から
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