4枚カード問題

【4枚カード問題】わかりやすくなる心理学を紹介

  • 2021年3月12日
  • 2023年1月5日
  • 哲学

どうすれば話を伝えやすくできるのか

それを実感していただくために、「4枚カード問題」(ウェイソン選択課題)を出します。

この仕組みを知ると伝える技術があがります。

簡単に言うと、物事を説明するときに「裏切り」を例にとって述べるとわかりやすくなるのです。

例えば、数学を説明するのにも、数字を擬人化して裏切りを例にあげると理解しやすくなります。

こども
擬人化?この説明だけだとよくわからない。
4枚カード問題(ウェイソン選択課題)を体感してもらいます。
ある正解率の低い問題をだします
片方の面にはアルファベットが、もう一方の面には数字が書かれている4枚のカードがある。
それぞれのカードで、
片方が母音ならば、そのカードのもう一方の面は偶数でなければならない
というルールが成立しているかを確かめたい。
調べる必要があるカードはどれだろうか?

正解率が低いんだよね!間違いは気にせず答えてみようかな。
正解は「E」と「7」になります
答えを理解する前に、次の問題を解いてみて下さい。
先ほどよりも、正解率の高い問題を出します
4人が飲み物を飲んでいる4枚のカードがある。
アルコール飲料を飲んでいるならば、20歳以上でなければならない
というルールが成立しているかどうかを確かめたい。
調べる必要があるカードはどれだろうか?
4枚カード問題
ワインを飲んでいるのは誰かは調べなきゃ!
こども
子どもがお酒を飲んでいたら注意だよね!
ワインと、16歳のカード裏は調べる必要があります。
かつ、紅茶は誰が飲んでいてもいいし、60歳のおじいさんが何を飲んでいてもよくなります。
正解は「ワイン」と「16歳」のカードになります
実は、この二つの問題は論理的にまったく同じものです。
これが「ウェイソン選択課題」として知られています。
正解を求めるルールが社会的なもので、そのルールを守らなければいけないような監視するような形。
その形が取られたときに、私たちは問題を理解しやすくなる、ということです。
回答の正答率も上がります。
心理学ではその理由を、裏切り者を迅速に発見することのできる、私たちの認知メカニズムに求めています。
「善意と言う暴力」堀内進之介著(2019)
けう
すごい!
同じ論理問題と言われても、違うものに感じる!
ちなみに、問題1をこの法則に当てはめて説明してみます。
ウェイソン選択課題
片方が「母音」ならば、そのカードのもう一方の面は「偶数」でなければならない。

片方が「未成年」ならば、そのカードのもう一方の面は「お酒ではない」でなければならない。
「カッコ」に入る言葉は書き換えが可能です。
なので、問い2のような例に変えてみました。
こども
未成年のEさんはお酒を飲んじゃダメ!
7のワインは未成年が飲んじゃダメ!
けう
すごい!難しいと言われてたのに正解!
Eと7をチェック。
Kおじいさんは何を飲んでもいいし、2紅茶は誰が飲んでもいいです。
これで答えは「E」と「7」になります。
母音や偶数奇数だと擬人化しにくく、裏切りを発見するメカニズムも働きません。
ちなみに、偽の数式を引用したでたらめな論文が、学術誌に掲載された事件もありました。
人は数字などを思考せずにそのまま受け入れてしまう傾向があると言えそうです。
数式やグラフが理解できないと、そうなんだろうなって思考停止して受け入れてしまうかも。
次に、4枚カード問題のメカニズムを見ていきます。
なぜこんなに理解しやすく、正答率が上がったのでしょうか。

4枚カード問題(ウェイソン選択課題)に見られるメカニズム

4枚カード問題には、裏切り者を迅速に発見するメカニズムがあります。

ここでは2つ紹介します。

①公正世界仮説

②返報性の法則

これらを見ていきます。

公正世界仮説

私たちの感情はずるい裏切り者を許さないように出来ていると著者(「善意と言う暴力」)は述べます。

上の問いで言えば、未成年は飲酒禁止というルールを破ることは裏切り者になります。

なので私たちは強く反応し、正答率が上がるのです。

ルールが感情にまで及ぶので、ルール違反をすぐに見つけます。

そこで、疑問になります。

私たちはどうして裏切り者を見つけることが得意なのでしょうか。

社会心理学には「公正世界仮説」という考え方があります。

例えば、良い事をすると良いことが返ってくる。

悪いことをすると悪いことが起こる。

という思い込みによって、そうならないと許さないと思う心情です。

こども
あー、悪いことしたのにおやつもらってる!
けう
公平じゃないとずるいと思うんだね。
理不尽で納得がいかない心の状態は誰でも不愉快なため、簡単に納得できる説明を求めてしまいます。
問題では、20歳未満は飲酒禁止という法律。
この単純でわかりやすいルールに基づいて、大人は子どもにお酒を禁止にします。
このルールに基づく法律で、他の物事を説明せずに禁止するのです。
「法律に反するから裏切り者」と思うことで、私たちは物事をわかりやすく理解します
私たちが裏切り者を迅速に見つけ出す理由その②に移ります。

返報性の法則

他人から何かをもらったら、自分も相手にお返ししようとする心理です。

この法則は根強く、人間文化の中でもっとも基本的な要素となっているようです。

なので、この法則が破られるとその破った人を裏切り者だと認識しやすくなります。

こども
お返しは?
そう反応されると困っちゃうな。
このような2つのメカニズムによって、裏切り者が認知されやすくなります。

4枚カード問題(ウェイソン選択課題)まとめ

4枚カード問題を実感してもらい、次にそのメカニズムを説明しました。

私たちは何かを理解しようとするとき、擬人化したり、何か感情に訴えかけるとわかりやすくなります。

数字だけでは理解できなかったことが、裏切りを考えることで正答率も上がるのです

私たちの物事の理解の仕方には、ルールとその単純化が埋め込まれています

けう
ずるさを例えるとわかりやすいんだね!
何か説明に使えるかも!

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