哲学を学ぶためにはどうしたらいいのか。
その回答の一つは、用語を覚えることです。
私は哲学用語図鑑をこのブログの根幹においています。
その理由を説明し、哲学用語図鑑を使って自分で学ぶ利用法にもふれていきます。
哲学用語図鑑をブログの根幹にする理由
なぜ哲学の原書ではなく、哲学用語図鑑なのかを説明していきます。
②哲学用語図鑑から現代哲学のトピックを知ることができる
それぞれを見ていきます。
哲学書は用語の知識なしには読めない
周知のこととして哲学用語は哲学の原作から生み出されています。
本来ならば、その本に当たらなければ語れないかもしれません。
しかし、私は言い訳を含めていいます。
哲学は予備知識がないと読めない、と言うことを。
喩えれば、家を作るのに私たちは材料を1から用意しません。
そこにある材料を取り寄せて、家を作ろうとします。
哲学用語を覚えることは、材料を入手することになります。
哲学用語を自分から獲得するには、それ以前の長い道のりがあります。
他の学問でも基礎知識は学校で習います。
基礎知識を学び、その上で応用していきます。
それと同じく、哲学はいきなり原書にあたるとわからない用語が多いので、まずは哲学用語を理解することから始まります。
ちなみに、逆の視点もあります。
例えば、フィヒテの哲学書は哲学用語に頼らない傾向がある、とマルクス・ガブリエルは述べていました。
そして、哲学用語をつかわないことで、さらに難解さが増していると述べているのです。
材料を作るのにも説明が要りますが、そこでさらなる過程を必要とします。
哲学用語が「材料」になることで、その手間を省くのです。
次に、哲学用語図鑑から現代哲学のトピックを知ることで、哲学を身近にする方法を見ていきます。
哲学用語図鑑から現代哲学のトピックを知る
哲学用語図鑑では、主要な哲学用語が書かれています。
哲学の原点から、現代にいたるまでの一つの哲学用語が1,2ページで完結に説明されています。
例えば、ショーペンハウアーの紹介を見ていくと、彼のペシミズムについての説明が2ページにかけて掲載されています。
ペシミズムを簡単に言うと、社会がどれだけよくなろうと個人の苦悩はなくならないといった思想です。
ショーペンハウアーは他のことも説いているけれど、世間のイメージや、哲学分野で扱われているイメージはペシミズムだと図鑑から読み取れます。
しかし、哲学の原書を当たってみると、取り上げられている用語が明確に説明されているわけではないことに気がつきます。
現代の意味で使われているイメージを理解することが、原書からは難しいのです。
一方、哲学用語図鑑はその哲学書のトピックだと思われる部分を、筆者が取り上げています。
哲学用語図鑑に載っている言葉を知ることは、現代で使われているその哲学者の傾向やその言葉の意味、主義主張やその比較など、全体的な地図を頭に入れることになります。
「読んでいない本について堂々と語る方法」のように、哲学の原書を読まずに語ることができるのです。
さらに哲学用語図鑑を活用していく具体例を詳しく追っていきます。
哲学用語図鑑を活用していく具体例
まず、私は情報と知識を分けて考えます。
情報とは本を立ち止まらずに読み進めるイメージです。
そこから、ふと立ち止まってその意味を考え出すことで知識になります。
この区分けを念頭に、哲学用語図鑑を見ていきます 。
哲学用語図鑑を原書より先に読むと言うことは、まずは先入観を頭にいれることになります。
人は用語を知らないと、そのことを考えることが難しいので、まずは情報を得ます。
そして、その意味を考えたり、原書から読み解こうとしたりする問いの段階。
そこから、考えることによって知識になります。
そしてさらに、なぜこの哲学用語がトピックになっているのかが問いになる、といった道筋をたどります。
さらに深い知識の段階で、哲学を身近にしていくことができるのです。
これは例えば、数学や科学を習うことでそれが日常に使えるようになることと同じです。
哲学用語図鑑は学問としての教科書になることができます。
次に、哲学用語図鑑が現代社会に適合する理由についても見ていきましょう。
哲学用語図鑑が現代社会に適合する理由
現代社会は情報化社会といわれています。
私は情報と知識を分けて考えてきました。
なぜ分けて考えるようになったのかと言うと、ショーペンハウアーの「読書について」がきっかけです。
読書は他人の頭で考えることになるのだから、読書から得るものは「材料」にとどめよう、と本で述べられています。
この区分けで言えば、
という構図になります。
そして、ショーペンハウアーは情報をただ読むことに対してこのように言います。
喩えると、私たちは読書をするとき蝋燭の型にいれられたように同一のモノになってしまう、と。
それは、筆者が考えたように考え、同じ問いをたどり、同じ結果にたどり着くという過程をたどるからです。
考えているようでいて、自分の思索ではないのです。
ふと他人の本を読んで他のことが疑問になったとします。
すると、その答えはどこにも書いていないので、自分で探さなければいけなくなるのです。
他の辞書や本から調べたり、自分で事例を考え出さなければいけなくなります。
この過程が自分の思索になります。
ショーペンハウアーは思索のない読書を繰り返していくと、自分の頭で考えられなくなると警告しています。
現代は情報化社会と言われます。
ショーペンハウアーが警告した時代がやってきているのです。
現代は情報に溢れています。
その中でまずは自分で意味をつかもうとする図鑑や、辞書や教科書といった根本的なものを自分から調べることで、情報が知識になるのです。
哲学用語図鑑のまとめ
哲学用語図鑑を根幹にする理由
②哲学用語図鑑から現代哲学のトピックを知ることができる
これらを見てきました。
そこから、哲学用語図鑑を読むことで考えられる過程を追いました。
情報化社会と言われている現代において、情報を知識に変えるように意識していけます。
情報と知識をショーペンハウアーの言葉に当てはめるならば
というように表すことができます。
「哲学用語図鑑」シリーズは現時点で4冊発行されています。
哲学用語図鑑(2015 田中正人著 斎藤哲也監修)
続・哲学用語図鑑(2017 田中正人著 斎藤哲也監修)
社会学用語図鑑(2019 田中正人著 香月孝史著)
心理学用語大全(2020 田中正人著 斎藤勇監修)