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グリア細胞と思考感覚

おはようございます。けうです。

 

 

今は「もうひとつの脳」

ニューロンを支配する影の主役「グリア細胞」

という本を読んでいます。

グリア細胞とは

内容としては、今までこの100年間、

私たちはニューロンによって脳が動いていると思っていました。

 

でも、実は半分違っていて、脳の灰白質がそのニューロンさえも左右していたのではないか、という内容がこの本になっています。

そもそも今までの脳科学では、人の脳もサルの脳も構造上ではほぼ同じだと言われてきました。

でも、この本の初めでは世紀の天才、アインシュタインンの脳を取り出して、他の脳とどこが違うのかを調べた本になっています。

 

他の人間同士で脳を比べたんです。

そうしたら、その灰白質、つまりグリア細胞が多かったと言う結果がでました。

 

それを他の動物にも比較してみると、

知能が発達している動物にそって、そのグリア細胞が多かったと言われています。

知能を司る細胞、ということ。

 

 

この本の出版は2018年で比較的新しい概念です。

そして、なぜグリア細胞が無視されていたかというと、見えなかったから。

電子顕微鏡ができたのが1950年頃。

そのころまで小さすぎてグリア細胞がわからなかった。

なので、グリア細胞というのはラテン語でニューロンを埋める「神経細胞の接着剤」と呼ばれているそうです。

 

この発見は何を意味するか。

思考感覚との関係

私は長らく、マルクス・ガブリエルが提案していた「思考感覚」というのがどういうものか問いとしてあったんですよ。

考えることは感覚なんだという発想です。

哲学に昔からある考え方なんですけど、このグリア細胞と関連して考えられるんじゃないかと思いました。

 

それはこのグリア細胞によって、人の考えが物質化される可能性があるから。

人は感覚を半分物質化できています。

痛み、快楽、怒りとか。

それはある物質と見なすことによって、このホルモンがでているから気持ちが良いだとか、興奮しているだとかが言える。

 

これと同じように、この物質がでているから考えているといえる、と言うことがでてくるのではないかと私は考えました。

 

それは、アインシュタインの脳の何が多かったかと言うとこのグリア細胞が多かったらしいんですよね。

感情豊かな人と同じような感覚で、そのグリア細胞が考えさせているといえる。

グリア細胞と精神疾患

さらにいうと、精神疾患の構造に踏み込んでいます。

私たちがうつ状態になるときに中ではどんな状態にあるか。

それは、ある程度セロトニンが分泌されている状態は幸せ状態にあるんですが、うつ状態ではそのセロトニンが働いていない状態になっているんです。

セロトニンがあっても、すぐに神経内に取り込まれてしまってそれが働かない状態になってしまう。

それで、その取り込むのを阻害するように投薬されると、うつ状態が治って気分が向上するというんですよ。

なら、なぜ取り込む装置があるかというと、セロトニンが多すぎると愛着障害を呼ぶと言います。

特定の人に愛を向けるために、他人を陥れようと思うようになると言う感覚です。

愛ゆえの殺人とか、執着とか、そのようなものです。

 

そして、この楽しい気持ち物質だとか、怒りの物質だとかは私たちは言われてもその通りだと受け入れていますよね。

 

もし、このグリアの研究が進んで行けば、私たちが人間を人間たらしめているともいえる思考は、この思考物質として説明されるのではないかという考え方です。

 

特に考えに重きをおく理由がないからですね。

 

このセロトニンがずっとある人は幸せ状態にずっとあるけれど、ずっとあることによっては何かしらの害をうけてしまうからそれを調整する。

 

それと同じように考える物質はずっとあると、病んでしまう可能性があります。

それは多くの哲学者が精神疾患伴っているという事実とも一致します。

考え物質がずっと脳内にあることは、なんらかの病気と関連してします。

 

このグリアは良い面も悪い面もあるということ。

考えすぎるのは病だ、というのは「地下室の手記」の一節ですが、その通りと言うわけなんです。

 

今までは見えてこなかったグリア細胞が見えるようになることは、私たちの考え物質を考えることができるということ。

 

感覚と同じように、考えがその人を襲っている。

つまり、痛みの刺激がずっとあるように、考えの刺激がずっとあるようなものです。

そして、それが正常に狂気に陥らないようにそのグリアが正式に働いてくれるのならば、精神疾患にはならないということが言えます。

それも薬や注射で制御できるということ。

 

私たちは考えに個性を持ちすぎている。

なので、もしかしたらグリア細胞によって、考え物質というものがでてきたとすれば、あまり受け入れたくないと思うような反応もあるのではないかと思ったりします。

でも、私たちは痛み物質だとか、快楽物質だとかは認めている。

認めている上で感情が形成されていて、それも個性だとみなせている。

考えが多いと言うのも、そこ感覚と一致させることがグリア細胞の研究がはばまれるかもしれないけれど、

それを人間らしさともみなせるということ。

ドゥルーズの考えの捉え方

哲学者ドゥルーズは考えることをネガティブなものとして捉えました。

贈り物に対して暴力と捉えた。

それは、精神分析医のガタリと共同して作品を書いてきたドゥルーズは精神疾患のことをよく見てきたから。

そして、その症状としては考えすぎることによる病気とも取られると解釈してきたからなのではないかと。

 

そして、ドゥルーズは人は考えることを嫌う。

それは考えすぎて困っている患者にはセロトニン作用を促す。

すると、幸福に浸って考えが抑えられる。

グリア細胞の機能を中立に保つというもの。

そして、この薬剤に頼らなくても運動をするといいと言います。

きっと、運動の作用には中立に働かせる何かが関与しているということ。

そして、グリア細胞が多かったとしてそれを中立に働かせるには食事や睡眠や運動といった基本的に体に良いということをすることかもしれない。

 

アインシュタインの脳はそのグリア細胞が多かった。

そして、狂気に陥らずに済むくらいの正常な機能をしていた。

そのため、考える物質が多く、天才的な考えができた、とも言うことが出来ます。

 

そして、考えを物質として見ることのメリットは精神疾患が今までわけのわからなくて怖いという病気から、物質的なものとして、本当の病気として私たちが捉えられるようになることを示唆しています。

 

考えの進歩(認識論的切断)はパラダイムシフトと共に起こる。

今までの考え方を変えるのは、こうした科学の発展と重なっていると言うこと。

発見とは隠していたものを見つけること。

昨日のツイートを引用すると、

彼らは自分ではとても完成できそうにない大きなパズルの断片を見出したと感じて、自然がそこに隠しているとおぼしき秘密を解明してほしいと願っているはずだ。

なぜ考えに優位をつけていたのか、なぜ精神病をわからないものとして恐がるのか。

それはまだ隠されているからではないかな、と思いました。

 

では、聞いていただいてありがとうございました。

 

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