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「利他」とは何か-伊藤亜紗さんの論考から

おはようございます。けうです。

 

今日は「利他」とは何かという本を読んだので、そのことについて話していこうと思います。

 

最近では利他主義が取り上げられているようです。

利他主義というのは簡単に言えば「他者のために生きる」という人間の本質に立ち返るべきだという考え方です。

しかし、日本には偽善を嫌う風潮があります。

利他主義と偽善は違う気がする。

そのような違いを明確にするためにも利他主義を考察していきます。

 

この本の一章、伊藤亜紗さんの語る「ケアの現場から見る『うつわ』的利他」をみていきます。

まず、伊藤さんは今説かれている利他主義の具体例を述べました。

利他主義の具体例

現代説かれている利他主義の主に2つを紹介していました。

合理的利他主義

・合理的利他主義

利他主義とは、合理的な利己主義にほかならない、という考え方です。

「自分にとっての利益」を行為の動機にします。

それがまわりまわって自分の為になる。

つまり、「情けは人のためならず、自分のため」という発想になります。

効果的利他主義

・効果的利他主義

「私たちは、自分にできる<いちばんたくさんのいいこと>をしなければならない」

という考え方。

つまり、最大多数の最大幸福である功利主義に加えて、幸福を徹底的に数値化することを目ざします。

なぜ数値化にこだわるのかと言うと、利他の原理を「共感」にしないためのようです。

私たちは他人のためをおもって「共感」によって利他主義を考えがちですが、それが相手にとって良い事かどうかはわからない、という考え方に基づいています。

私はこれが相手にとっていいと思うのだけど、というような共感に基づく主観に重きを置かないようにします。

なので、数値化することでもっとも利他的なことができるようになります。

自分の「傾向や好みや愛情」から独立した視点で、自身の生き方を法化するような理性の力を重んじます。

利他の最大の敵とは

では、この二つの利他主義から見える利他とはなんでしょうか。

ここで伊藤さんが取り上げるのは利他の最大の敵です。

「利他の最大の敵は特定の目的に向けて他者をコントロールすること」だといいます。

合理的利他主義は自分が主になるので、コントロール可能な他者はでてきません。

効果的利他主義も「共感」によって他者を考えるのではなく、いったん数値化することによって、他者を離れます。

 

このように今言われている利他主義は他者をコントロールしないようにする利他主義を唱えている場合が多いのです。

一見するとおちいってしまいがちな他者コントロールをまずは最大の敵とみなします。

偽善には他者コントロールが含まれるのかもしれないと、私には感じられました。

こんなストーリーを載せていました。

 

助けてって言ってないのに助ける人が多いから、イライラするんじゃないかな。

認知症の丹野さんは自身が言う前に割り箸の用意やふたをあける用意や自分ができることまでされてしまうことにいらだちます。

「それ、おかしくない?できるのになぜそこまでするの?」と丹野さんが聞くと「やさしいからでしょ」と言われたそうです。

「でもこれは本人の自立を奪ってない?」と聞いたら、怒られたそうです。

認知症の当事者が怒りっぽいのは、周りの人が助けすぎるからなのではないか、と丹野さんは考えます。

 

ここでは、他人はこういうものだという思い込みが当事者を追い込むとのべます。

そして、更にこのことから明確になるのが信頼と安心の違いです。

利他からみる信頼と安全の違い

一つの徹底的な違いは「不確実性」が開かれているか、閉じられているかだとかたります。

不確実性とは予想ができるか、できないかにかかわってくるもので、文字通り不確実という考え方です。

 

・信頼は社会的不確実性がある、つまり相手がどんなことをやるかわからないけれど、人間性ゆえに相手が自分に対してひどい行動はとらないだろうと考えること。

・安心はそもそもそのような社会的不確実性が存在していないと感じることです。

 

不確実とは、相手が想定外の行動をとるかもしれないこと。

なので、信頼はリスクを取ります。

かえって、安心は相手が予測できると考えるので、その思いが他人の支配になりやすいと語っています。

安心は文字通り相手を支配下においてリスクをとらずに相手をコントロールすることになるからです。

日本社会でよく聞くのは安心・安全という言葉だなとこの違いをきいて思いました。

信頼の不確実性に重きをおかずに、コントロールに重きを置いているのかな、と。

だから利他とは何かを考えることがプロジェクトになってこの本がかかれているのかな、と私は思いました。

利他とは何か-まとめ

本から抜粋します。

「利他とは、私たちが思うより、もっとずっと受け身なことなのかもしれません。」

自分の予測を確実なものにしようとして走り回るよりも、相手の不確実性にかけて信頼する。

さらに、相手がどのように思うのか聞くという態度が含まれるからこのように受け身なのが利他なのではないかと解釈できます。

 

まとめとして、

利他とは、「聞くこと」を通じて、相手の隠れた可能性を引き出すことである、と同時に自分が変わることである。

と述べられていました。

 

利他とは何かを考えようとすると、優しさとは何かということまで考えるようになります。

私がこれは相手のためになるだろうとすぐに行動して相手の自立を奪うことは利他的行動にならないからです。

子育てでも活用できます。

子どもができることを親がやってしまう。

すると、その分子どもの成長を奪ってしまうことになります。

この話を聞いて、そのような信頼に頼るとするならば予想ができないので、かえって楽しいかもしれないと感じました。

それは、予想外のことばかり起こるので、驚きに満ちるからです。

 

ただ、安全とついになるのは危険です。

それはそれで考えなければいけないことなのかな、と。

ただその危険だと思う範囲が現代では広がっているのかなと私は感じました。

車に気をつけるというのは安全にかかわってきますけど、この信頼と安全の線引きですね。

 

では、お聞きいただいてありがとうございました。

 

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