イデア論 わかりやすく

プラトンのイデア論をわかりやすく、「洞窟の比喩」の具体例から解説

プラトンのイデアを簡単に言ってしまうと、「理想像」です。
(哲学用語事典 小川仁志 2019 参照)

哲学ではプラトンはどのように扱われているかと言うと。

西洋のすべての哲学は、プラトン哲学への脚注にすぎない
(アルフレッド)「哲学と宗教全史 参照」(出口治明 2019)

このように言われるほど、プラトン哲学は基礎的な概念です。

プラトンの文献は数多く残っていて、哲学的なテーマがほぼすべて存在していると言われています。
その中でも一番有名なのがイデア論です。
プラトンは紀元前427~347の人物。

西洋哲学をしていく際にも、イデアは覚えておきたい概念です。

では、プラトンのイデア論を具体例でわかりやすく解説していきます。

プラトンのイデア論とは

イデアは「理想像」、または「本質」、「真理」、または「完全なもの」というような訳がされます

では、このイデア論がでてきた具体例を述べていきます。

こちらの洞窟を想像してみて下さい。(「宗教と哲学全史」の説明を引用)
プラトンの「洞窟の比喩」を説明していきます。

プラトン洞窟

 あなたは生まれたときから大人になるまで、首や手足を固定されて洞窟の壁に向かって椅子に腰かけています。

前のものしか見えない状態です。

あなたのはるか上部にあたる場所で、明るい火が燃えさかっています。

その火の前には一本の道があり、そこをいろんな動物や馬車が通ります。

その動物や馬車の「火の影絵」だけが見える状態です。

生まれてからずっと壁の面だけを見て生きてきたあなたは、そこに映る影が真実の姿だと考えてしまいます。
ずっと暗闇の影絵を見ていたあなたは、明るい所の真実の姿を知りません。

なので、あなたがいくら真実の姿を説明されようが、壁に映る影を真実であると考えてしまいます。

そこから、あなたは自由の身になって、明るい火から動物や馬車の姿を見ます。

明るいところで本当の姿を知ってから、暗闇に戻されます。

すると、今度は動物や馬車の影をみたときに、その本当の姿を想像します。

今までは影絵だったけれど、本当の姿を想像するようになるのです。

その本当の姿の想像されているものが「イデア」です。

プラトンはこのようなことを言ったそうです。

「人間の魂はかつて天上の世界にあってイデアだけを見て暮らしてきた。

しかし、人間は汚れたので地上に追放されてしまった。

追放されたときに、忘却の河を渡ってしまったので、イデアを忘れてしまった。

しかし、地上の世界でイデアを真似てつくられたものに接するときに、忘れていたイデアを思い出す」と。

洞窟では、初めにイデアとしてのそのものの本当の姿が忘れられていました。

けれど、明るい下で影絵ではない姿(似た姿)を見たときに、本当の姿を思い出しました。

 

ものごとには本質がある。それがイデアである。

我々が現世でみているものは本質の模造品である。(プラトン)

ものごとの本質がイデアだとプラトンは語り、さらに、洞窟の比喩でイデアのイメージを語ります。

プラトンでは洞くつの比喩が語られましたが、現代でのイデアの説明を見ていきます。

プラトンのイデアを現代風に説明する

例えば、私たちは完全な三角形をつくり出すことも、描くことも、みたこともありません。

こども
えっ!普段目にしているよ。ほら、これ△。
確かに私たちは三角形をこのように(△)捉えているのですが、厳密に言うと違うのです。
この三角形△を拡大してみると、文字のぎざぎざが出てきて、三角形ではなくなります。
大きく大きくすると、三角形を書いた線が拡大されて、線のように見えてくるのです。
△これも、本当の三角形を私たちは見ているわけではないのです。
それなのに、私たちは完全な三角形を理解することができます。
こども
そっか!僕とっさに△を見て三角形!って答えてた。
理解してたってことになるよね。
イデアを考えていくと現実と理想という二つの世界観がでてきます。
日本語の理想という言葉は、プラトンのイデアを説明するために明治時代につくられた造語だそうです。

プラトンのイデアを比較していく

イデアを理解したときに、似た言葉がでてきます。

人間が生まれながらにもっているもの、生得観念です

例えば、自分という認識です。

「我思う」というような自分が思っていることは疑いえない。(デカルト)

生得観念は人間が生まれながらに知っていることです。

イデアと似ています。

では、イデアと生得観念の違いを見ていきましょう。

イデアと生得観念の違い

人間は生まれる前に「理想像」という完全を見ている、というのがイデアの前提。

それらを思い出して出てきたものがイデアです。

対して、デカルトの言う生得観念は、神から与えられた「完全という観念」です。

イデアは理想とするイデア界があるとしますが、生得観念は神から与えられた観念です。

イデアは生前のイデア界のものが思い出される振舞い。

生得観念は人の意識が生得観念を使って正しい判断をする振舞い。

デカルトは近代哲学の祖といわれます。

ここから自意識が出てきました。

 

イデアが自然と思い出されて、私たちは三角形がわかる。

生得観念はそれが私にあるとして、それを自意識によって自分で三角形だと判断をしていきます。
(自我の発見)

時代によって生まれながらにあるものの認識の仕方が変わっています。

イデア論の批判

プラトンはイデア論を否定されています。

イデアを想像するにはイデア界が存在する。

そのイデア界のイデアにも、「イデアのイデア」が存在する。

その「イデアのイデア」界のイデアにも、「イデアのイデアのイデア」が存在する。

と、このように永遠にイデアのイデアが続いていきます

このような批判から、イデアというのは頭の中だけの論理だと批判されています。

なので、デカルトは神の存在を持ち出して、さらに神の存在の証明も試みました。

哲学には「真理」がいまだにないので、このデカルトの生得観念も批判ができますが、今回はイデアに焦点をしぼります。

プラトンのイデア論‐まとめ

プラトンのイデアは「理想像」のことです。

ものごとの「本質」を指します。

「洞窟の比喩」では人は生まれる以前にイデア界でイデアを見たので、そのものがわかるようになります。

なので、犬の多様な種類を見ても犬、線で書く三角形も三角形だと見て取ることができます。

プラトンのイデア論は、西洋哲学に大きな影響を与えています。

なので、イデアは哲学を学ぶ上では知っておきたいことです。

 

このイデアですが、実は英語のアイデアの語源でもあるそうです。

イデアは日本語の「理想像」でもあり、英語のアイデアの語源です。

けう
アイデアが重視される現代でも、イデアを知っておくといいね。 
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