おはようございます。けうです。
「ライフスパン‐老いなき世界」を読んでいます。
前回扱ったファスティングに関してのことなども詳しく紹介されていました。
>>前回はこちら
そして、読み進めていくうちに、本当に老いは病気として見なせるようになるのではないか、と私も思い始めてきました。
老衰して死を迎えるというのも、一つの偏見とか思い込みであり、疑えるものだったのだ、と。
老いを病気として見る事例
筆者はある病気の例えを出します。
30代なのに70代に見えてしまう病気、ウェルナー症候群です。
私たちはそれを病気だと考えることができます。
30代なのに老化していて可哀そうというような感想を持つのは、自然かもしれません。
それと同じように、寿命が延びている未来人だとか、若々しさを保っている人からみれば、今現在の80歳で健康寿命が損なわれやすい現象は病気なのではないか、とみなすことができるということです。
では、老化を病気だと捉えられるような研究結果を紹介していきます。
病気と捉えた場合、治せるということです。
病気を治す-IPS細胞は「訂正装置」
老いの研究はまだまだ発展途上にあります。
ノーベル賞を受賞した山中伸弥さんが発見したIPS細胞。
山中さんは2006年に発表を行っています。
前回説明した遺伝子Aと遺伝子Bから引用してこのIPS細胞のすごさを説明してみます。
IPS細胞は老いと関係があった。
筆者はこれは「再生装置」に利用できるというのです。
遺伝子Aは体のDNAが傷ついたときに、その修復を促す遺伝子。
なので、その遺伝子が発揮しているときは、他の場所で機能していた遺伝子が集められて、DNAの修復に向かいます。
例えるなら、ピアニストが大工さん、エンジニアが大工さん、学校の先生が大工さんというように役割を変えてDNAを直そうとします。
けれど、そのDNAは治らない場合があります。
自分の力ではどうしようもないときがある。
その場合に、その遺伝子群はそこにとどまって、元居た場所のアイデンティティを喪失します。
みんながなれない大工仕事をするイメージです。
そうなると、本来そこで働いていた機能が低下します。
免疫力だったり、髪のつやだったり、皮膚が若々しい事だったりがなくなって、老化してしまうのです。
これを防ぐのが遺伝子Bだと言われています。
遺伝子Aを抑えて、DNAは破壊されていないからみんな持ち場でがんばって!
というのが遺伝子B。
これがサーチュインとも言われていて、この遺伝子Bは若返りに効果があるといわれています。
では、このIPS細胞がどのように働くのかと言えば、細胞のアイデンティティを回復させるのに役立つのではないか?というのが筆者の考えです。
一度、大工さんになった各細胞たちをまた固有の職業へもどす役割を果たしてくれるのではないかと。
みんな大工さんになっていたけれど、エンジニアとか学校の先生だとかに戻って!という機能なので「訂正装置」と呼ばれます。
今なお、若返りの実験は繰り返されていて、そのような薬がでるのではないかというようにも考えられています。
これは未来の新薬のことですが、身近なサプリメントでも若返り効果が期待できるものがあります。
老化を防ぐサプリメント
NMNサプリや糖尿病対策に使われているメトホルミン。
これらのサプリメントは摂取すると若返り効果があるとされています。
この成分が取られた元は何かと言えば、多くは野菜や植物です。
なぜかといえば、この物質は遺伝子Bの作用を強化する物質だから。
人は遺伝子Bを作用させるにはある程度のストレスが必要になります。
それと同じく、植物もこの遺伝子Bをストレスを受けることで強化していることがわかりました。
例えば、水分を少なくして育ったトマトは赤さが増すといいますが、その赤色の発色に遺伝子Bを助ける物質がふくまれていたりします。
そのような食物にあるストレスによって生じた物質を集めたサプリがここで言われているNMNサプリ。
NMNサプリだけでなくても、他の抗酸化物質にあたるようなものはまだ食物にあるのですが、今回はNMNを紹介します。
このNMNは前回紹介した高齢なのに動き回るマウスにも投与されていた物質です。
遺伝子Bを活発化させることによって、若々しさを保つ効果があります。
なので、今話題のサプリでもあるんです。
サプリに頼らなくても、自分でファスティングなどをしてサーチュインを働かせればいいんですけど、それがサプリによってもできるというのはいいですよね。
宣伝のようになっていますが、私は読んでいてこのサプリを試してみたいなとも思いました。
そうなることで、老いを病気だとみなしているということです。
筆者の父が飲んでいて、70歳なのにびっくりするぐらい元気だとか、高齢で飲んでいた人の生殖機能が戻った、という話がでていました。
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老いに対する倫理的な問題
ただ、このような科学の進歩で懸念されるのが倫理的な問題です。
デザイナーベイビーは世界各国から非難されました。
確かに、人の遺伝子が操作できてしまうと、多様性を失った世界になってしまいます。
それと、老化問題とはおそらく技術の進歩とともに考えなければいけない事例も出てくると考えられます。
ぱっと考え付くのは、情報格差。
このような老いの科学を認識していると、老いに対して対処しようとする人と対処しない人というのがでてきます。
知っているから対処するのと、知らないから対処できないというのは違います。
さらに、対処できる人が裕福層な可能性は高くなります。
死は平等におとずれるもの。
今までだれもがそのように思ってきたことが覆されようとしています。
そのときに、この平等についても考えていかなければいけなくなるのかもしれません。
新たな発見によって、死が平等ではなくなっていく、と。
では、お聞きいただいてありがとうございました。