おはようございます。けうです。
読んで思った感想。
私は死を想う時に、老化を想っていたのではないかと思わされました。
では、なぜそう思ってしまうのか。
筆者の体験から探っていきます。
身近な老化からみる死生観
本では初めに、筆者の元気だった祖母の話から始まります。
常識を疑い、賢く、元気で活発な祖母。
そんな祖母だったのですが、年齢が80歳になる頃には当時の面影がなかったといいます。
筆者から言わせれば、従来の祖母は10年前になくなっていて、今の体の不調を訴えている祖母は昔の祖母ではない、と。
私たちが死を想う時、そこには今の自分とは違う自分を想像しています。
体のあちこちが痛んでいたり、思考が鈍っていたり、思うように動けなかったり。
そんなときに、私たちは長く生きてはいたくないと考えます。
苦痛と共に生きるのは嫌だ、と。
でも、今の高齢化社会ではこれが続いているのだと筆者は語ります。
人の寿命は延びているのだけれど、健康寿命は変わっていない。
かえって健康寿命だけ損なわれたりしている。
ただ延命の技術だけが適応されているから、経済は圧迫されているし、死がさらにひどいものとして映るのだ、と。
健康寿命を延ばす
その死生観を変えるのが、健康寿命を延ばすという考え方です。
老化を病気と考える時、それは実際の寿命ではなくて健康寿命を延ばすという考え方なのです。
この考え方からすれば、私が誰かの力や負担をかけつつ生きのびるというよりは、自分で自分を生きるという考え方に切り替わります。
筆者の祖母が、昔の活発で自信あふれる祖母のままいるというイメージです。
こう明言されて思うのは、私たちは死と健康を重ね合わせているのだということ。
老化と考える時に、体の節々がいたんでいるというイメージがあるから、そこまで長生きしたくないと考えることがあるということです。
例えば、私たちは高齢者の疑似体験ができると言われています。
体が重くなって、目もかすんで、頭もぼーっとしてしまう。
年を取るとこのようになるのだ、と。
この体験をすると、高齢者に優しくなれるというのが体験する利点です。
けれど、その場合においては年老いることにおいての絶望がかいまみえます。
私たちは頭を良くしたいと思うし、体が痛むことなく動いていて欲しいと願う。
それとは別の現実が迫ってきたとき、老いに関して何もしなければ暗い未来を引き受けるしかないのだということ。
人は希望を抱いているときに、世界に対して世界をどうにかしたいと考えます。
ただ私の老化がそのような痛みを伴うものであり、それは全人類にとって同じだと考えれば、私たちは次の世代を良くしようとは思わなくなります。
現に、私たちの食品消費はすごい量であり、このまま行くと何世代か先は生きていけないと結論がついていても、そのまま過ごしています。
なぜなら、生きているということが老化に向かうことであり、苦しいことだから。
その苦しいことを和らげるための一種が死だと考えられているから、とも考えられます。
生きることがつらい、苦しい。
こう思ったときに、私たちは環境を変えようとは思わなくなります。
ただ死を受け入れればよいのだから、となるからです。
老化を病気と捉える場合
ところが、健康寿命が延びて、死ぬ直前までいままでの自分を保って死ねるとします。
今の「私」のままで死ぬことができる、と。
生から老化というマイナス面が消える。
イメージで言えば、10代の体で亡くなる、というイメージです。
頭もよく、体も活発に動く状態で死を迎える。
私たちは、若者がなくなってしまったときの方が悲しみます。
かえって、老齢でずっと苦しんでいるよりは死んでよかった、と思うような死生観を持っています。
だから、環境を変える取り組みを本気で考えない。
私たちが大量消費をしている社会。
もしその消費が少量で済むかわりに自分の身体が健康になるとしたら、私たちは大量消費をやめるかもしれない。
遺伝子組み換えも受け入れるかもしれない。
そのような価値観の変容を受け入れることができるかもしれないのです。
現に、若返りシステムのサーチュイン遺伝子は空腹のときに発動します。
私たちが少しストレスと感じたときに発動するのです。
その遺伝子を働かせるためには、消費を少なくすることが求められます。
他の例で言えば、遺伝子組み換え食品。
私たちはそれを食べたときに何が起こるかわからないという恐怖と闘います。
けれど、これを活用しないとしたら寝たきりの暗い未来や人々が飢餓に苦しむ未来が待っていると想定したときに、その恐怖に打ち勝つのではないかと筆者は語ります。
分からない未来より、分かっている未来の対処をしようとするからです。
では最後に、老化を病気とみなしている著者が健康寿命を延ばすためにとっている方法を紹介します。
健康寿命を延ばすための10のこと
①NMNとレベラトロールとメトホルミンを毎日摂取。
②ビタミンDとK2の推奨量をとり、83mgのアスピリンを服用。
③砂糖、パン、パスタ、デザートを控える。
④一日どれか一食を抜くか少量にする。
⑤血液を定期的に採取して体のバランスをはかる。
⑥毎日できるだけ歩いたり、運動をしたり、サウナにはいる。
⑦植物をたくさん摂取し、哺乳類の摂取を控える。
⑧タバコや電子レンジ、過度な紫外線、レントゲンなどを避ける。
⑨日中と就寝時は涼しい場所にいる。
⑩体重を本人のBMI適正値に合わせる。筆者は23から25。
羅列しましたが、この「ライフスパン」にはどうしてこのような行動をとるようになっているかの理由が述べられています。
そして、それを実践している著者は健康。
筆者のそれを実践している周りの人々も健康寿命が長いと述べています。
私たちが病気と闘う時に、苦痛と闘うことがよくあります。
風邪をひけば高熱と闘ったり、足のケガをすればその後のリハビリをがんばったりします。
それと同じように、老化が毎日の敵だとすれば、それと闘っていくことは健康寿命を延ばすということ。
私たちは寿命を延ばすと言うと、私でない私を生きる期間が長くなるのではないかと思うかもしれません。
けれど、今の自分を保つために、自己アイデンティティを保持するために努力するとしたら、寿命の捉え方が変わるということです。
では、お聞きいただいてありがとうございました。