「人間としての自覚」
第4節「仏教」
②ブッダの教え
>>インド思想から仏教誕生
それは彼が自分の教えを「世の流れに逆らうもの(パティソータガーミン)」だと理解していたからです。つまり、「普通の人だったらこうするよね」ということとは、逆のことを教えるのが自分の教えだと。
「だから仏教は面白い!」(魚川裕司)p14
ブッダの教えがやばい理由
「だから仏教は面白い!」(魚川裕司)では、「ブッダの教えはこんなにヤバかった!」という紹介があります。
ブッダの教えの要点の一つはこちら。
では、まずどのようにニートなのかを逸話からみてみましょう。
ちなみにブッダの本名はゴータマ=シッダッタで、シャカ族の王子としてうまれています。
悟りをひらいた(35歳)以後、ブッダと呼ばれました。
ニートとは|最古の経典「スッタニパータ」から
ブッダの時代に、バーラドヴァージャというバラモン(司祭)がいました。
彼は大きな田んぼを持っている農場経営者。
そこにゴーダマ・ブッダがやってきて托鉢(乞食、食物を乞うて歩くこと)を求めるために立っていました。
バラードドヴァージャ「私は働いて食べているのだから、あなたも畑を耕してから食べなさい」
働かざる者食うべからず、というまっとうな言い分です。
ゴーダマ・ブッダ「いや、私はすでに働いています」
ブッタにとって信仰が種子であり、苦行が雨であり、宗教的実践が耕作労働なのである、という内容の詩を唱えました。
バラードドヴァージャはこれに納得して喜び、鉢に乳粥をいれたのですが、ブッタはこれを捨てさせます。
世界を終わらせろ
ブッダの教えを解釈するポイントは輪廻です。
インド文化圏の人たちは、自分がこれまで輪廻転生を繰り返してきて、そしてこれからも同様に繰り返すであろうことを「事実」であると考えている。上座部圏ではよく唱えられる「ダンマパダ」の詩に「生を何度も繰り返すことは苦しいことである」という意味のフレーズがあります
(「だから仏教は面白い!」p68)
「スッタニパータ」からみる「生殖」の否定
マーガンディヤというバラモンが、ある時ゴータマ・ブッダを見かけました。
ブッダの立派な姿に一目ぼれ。
(ブッダは超絶イケメンだったらしい)
「私の家はお金持ちですから、托鉢をやめて私の娘と結婚して、家で楽しく暮らして下さい」
つまり、美人とはいっても、それは要するに皮一枚のことで、中身をみれば糞尿が詰まっているとブッダはみたのです。
ブッダの教え「苦とその原因」
ブッダは人々に苦しみの真理をみることを説きました。
生老病死の苦しみ(四苦)は避けられない。
さらに4つの苦を追加して、これも避けられない。
- 愛別離苦(あいべつりく)⇒愛するものとのわかれ
- 怨憎会苦(おんぞうえく)⇒憎むものとの出会い
- 求不得苦(ぐふとくく)⇒求めるものが得られない
- 五蘊盛苦(ごうんじょうく)⇒人間のからだや心を形成する五つの要素から生じる苦痛や苦悩のこと
(五蘊は「物質」、「感覚」、「知覚」、「意志」、「判断」の5つの要素のこと)
四苦にこれら4つを足して四苦八苦といいます。
- 真理に対する無知(無明)
- 自分や自分の所有物に執着する心(我執)
- 執着からうまれる欲望や怒りなどの煩悩
このうち欲望(貪)・怒り(瞋)・無知(癡)が三毒(さんどく)とよばれる根本的なものです。
「四諦と八正道」
まずは四諦(したい)という四つの真理を説きます。
四諦⇒四つの真理
- 苦諦(現実世界は苦であるという真理)
- 集諦(苦は執着よりおこるという真理)
- 滅諦(執着を滅することで苦をなくせるという真理)
- 動諦(苦をなくすための正しい修行方法は八正道であるという真理)
この動諦にでてくる八正道とは、正見(正しい見解)、正思(正しい思索)、正語(正しい言葉)、正業(正しい行為)、正命(正しい生活)、正精進(正しい努力)、正念(正しい気づき)、正定(正しい精神統一)のことです。
苦しみの原因を滅するためには、理解することが重要。
そこから、ただ知識として知るだけではなく、八正道を実践することを説きました。
八正道の実践は、苦行とも快楽的な生き方とも異なる、苦にも楽にもかたよらない中道です。
エロースに動かされる…
ブッダの悟り
ブッタの教えは我慢することとは違います。
見方そのものを変えてしまうのです。
それがブッダの言う心の平安(涅槃、ニルヴァーナ)ということ。
例えば、あなたが涅槃に達した(悟った)と思っていたとしても、ものすごい美人さんが誘惑してきたとしましょう。
そこで心が欲望に動かされたとしたら、それは達してはいなかったということ。
(阿羅漢とブッタは違う状態なのですが、この目指す形態の違いによって小乗仏教、大乗仏教と呼ばれたりする理由は次回に話します。)
四法印
- 一切皆苦【いっさいかいく】(生老病死の苦しみからはなれられない)
- 諸行無常【しょぎょうむじょう】(世のすべてのものは移り変わり、永遠に変わらないものはないということ)
- 諸法無我【しょほうむが】(不変の実体である魂は存在しない)
- 涅槃寂静【ねはんじゃくじょう】(煩悩の炎の吹き消された悟りの世界《涅槃》は、静やかな安らぎの境地《寂静》である)
ブッダの教え「慈悲」
>>大乗仏教