こども哲学

【こども哲学】わかりやすく具体的に哲学を伝える。

  • 2021年3月13日
  • 2022年3月4日
  • 哲学
こども
哲学って何?
このように子どもに聞かれると、答えに困ることはありませんか?
私は子どもの好きなものを例にとって、〇〇じゃないものが哲学、といいます。
けう
ゲームじゃないのが哲学!
こども
えっ!?じゃあこのお菓子も?
お菓子は違うとすぐ言えますが、そのように説明します。
では、どうしてそのように私が言うのかを説明していきます。

【こども哲学】ー哲学とは?

まずは難しい用語で哲学を捉えてみましょう。

叡智への愛。そして知識の追求、特に自然現象の原因、宇宙と事実と真実、さらに存在することの意味などに関わる知識の追求を愛すること。
「哲学と宗教の全史」出口治明(2019)参照

こども
?叡智?存在?
端的に説明された文章でも、子どもがそれぞれの単語がわからないと意味全体の理解が難しくなります。
この場合は、「叡智」「宇宙」「存在」など、その単語を説明することになります。
なので、私はまずこのように説明してみます。
けう
哲学っていうのは、〇〇ではない学問なんだよ。
この〇〇に子どもの興味をひくような学問を当てはめてみます。
専門用語では、否定神学といいます。
神の本質は人間が考えうるいかなる概念にも当てはまらないことを説明するための方法論です。
そのことを説明しているのですが、哲学でもそのように当てはめます。
こども
じゃあ、僕が習っている国語・算数・理科・社会は哲学ではないんだね。
keu
そうそう!学問の元々は哲学だったんだけど、学問の基礎ができて哲学ではなくなったんだよ。
冒頭ではなんでも、といいましたが、学問としてみていくために学問に限定してみます。
哲学は学問の基礎を疑います。
なので、学問の基礎ができたら、それは哲学ではなく社会学であったり、数学であったり、他の学問になるのです。
一般的な定義や基礎ができあがることで、哲学と言われていたものが心理学と言われるようになったり、社会学といわれるようになります。
何か基礎が成り立つことで、一つの学問が成りたちます。
なので、基礎が成り立つと同時にそれは哲学ではなくなるのです。
(ちなみに、否定神学的な説明は哲学における一つの説明の仕方であって、これを経由しない伝え方はたくさんあります。)
では、〇〇ではない、という否定が成り立つ哲学はどのように語ればいいのでしょうか。

【こども哲学】ーまずは大人が説明してみる。

哲学はものごとを根本原理から統一的に把握・理解しようとする学問として定義づけられています。

しようとする」なので、まだされていない過程であるのが哲学です。

では、〇〇ではない、と説明したとして、その後にどのように語ればいいのでしょうか。

語られている哲学を参考にしてみます。

例えば、ショーペンハウアーの哲学とか、ニーチェの哲学とか、誰かの哲学といわれます。

その人の哲学ということで、その人自体を基礎に置いています。

この場合の哲学は、その人なりの体系をさして〇〇の哲学というのです。

では、それがなぜ〇〇哲学という全体にならないのか、という謎がでてきます。

体系があるのに、ニーチェ哲学という学問にならないのはなぜ?

そのような疑問です。

その理由の一つは、哲学にはすべて否定がつきまとっているからです。

誰かが哲学を考え出したとして、考え出すからには基礎が必要になります。

しかし、哲学は基礎を疑います。

哲学自体が基礎を疑うので、基礎があること自体が矛盾になるのです。

ニーチェ哲学ではなく、ニーチェ学問となれば成立するのかもしれません。

それか、「哲学」という言葉に別の意味を持たせることで、「ニーチェ哲学」が成立します。

例えば、人が思想を語る時に「私の哲学」と言ったりしますね。

そのような言葉の使い方では、その「哲学」は成立します。

ただここで語る哲学とは違う意味を含むのでカッコつきの「哲学」にしました。

例えば、すごい!という言葉がいろんな意味を含むように、すごくないことをさして「すごい!」と言う。

または「可愛い!」と言っているけれど、実は可愛いという意味がなかったりします。

では、もう少し見ていきましょう。

基本的に語られる哲学

広辞苑を参照に見てみます。

①物事を根本原理から統一的に把握・理解しようとする学問。
②経験などから築き上げた人生観・世界観。また全体を貫く基本的な考え方・思想。
広辞苑 参照

主に〇〇の哲学という場合は、②に当てはまります。

人生観や世界観を映し出すからです。

では、①の哲学を語る場合、過程である哲学をこどもに説明するにはどうしたらいいのか。

それは、哲学は基礎を否定するのですが、その分、何を考えても良い自由な面があります

哲学は否定されるのが前提なところがあるので、どんな意見も言うことができるのです。

「哲学って何?」と問うのも哲学です。

好きなものを初めに当てはめて、ゲームでないのが哲学といいました。

では、ゲームとはそもそも何で、それではないものとは何か。

このように子どもも考えはじめます。

何を考えてもいい。

言い換えれば、考えることが哲学とも言えます。

考えている過程が哲学になるからです。

こども
ゲームじゃないって何だろう?
このように考え出すことが哲学のきっかけになります。
そもそもの常識を疑うような子どもの問いは、よく哲学で考えられている問いになっています。
私とは何か。
言葉とは。自分の考えとは。哲学とは。
このように考える時、基礎を疑います。
では、哲学が難しいと思われている理由も見ていきましょう。

【こども哲学】伝えるのが難しい理由

ここでは、伝えるのが難しい理由を3つ述べてみます。

①哲学は「真理」がない。
②人は否定を理解しにくい。
➂体系や基礎が一般的ではない。

哲学は「真理」がない

哲学はよく「真理」に到達しようとする学問ともいわれます。

物事を根本原理から統一的に理解しようとする、というのは「真理」を理解しようとする営みでもあるからです。

でも、少し困ったことがあります。

哲学では「真理」なんてない

と、語られるのも哲学だからです。

本当のことをつきとめようとしても、その本当なんてない。

このこと自体が矛盾を含んでいるので、伝えるのが難しいのです。

人は否定を理解しにくい

人は否定を理解しにくい、と言われています。

脳自体の仕組みとしてそういう傾向がある。

〇〇がダメといわれることで、否定されている内容や行動をイメージしてしまうと言われています。

けう
シロクマのことは考えちゃだめだよ!
今、シロクマのことを考えましたよね?
否定は肯定に変化されて脳内で再生されてしまうのです。
否定はそもそも理解しにくいことだとわかります。

体系や基礎が一般的ではない

体系の話をしましたが、哲学はそれが一般的ではありません。

哲学を説明する際にも、ショーペンハウアーの哲学といえば、ショーペンハウアーが考えているので彼独自の言い回しや説明が出てきます。

その人の考え自体を理解しないといけなくなるので、全体を理解するのが大変なのです。

こども
僕のことなんて誰もわかってくれない。
このように思ったことがありますよね。

人一人を理解するということは大変だし、理解しているよ!と言われても疑いたくもなります。

自分でさえも自分がわからなくなることがあるからです。

ただそんなわかりにくい哲学でもありますが、哲学用語はあります。

哲学用語は一般化されているので、専門用語を知ればその人の哲学がわかりやすくなります。

【こども哲学】まとめ

こどもに哲学を教えるために、まず哲学に疑問を持たせてみます

その際に、こどもが興味を持ちそうなものに対して、「〇〇じゃないのが哲学」と言ってみましょう。

こどもに興味のあるものから考えてもらうのです。

大人ですら難しい説明も、そのようにすれば楽しんで自由に考えることができます。

考え方の過程を楽しむ

それが哲学をする一つになっています。

けう
楽しむと好きになるから、叡智への愛になるね!

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