【こども哲学】ー哲学とは?
まずは難しい用語で哲学を捉えてみましょう。
叡智への愛。そして知識の追求、特に自然現象の原因、宇宙と事実と真実、さらに存在することの意味などに関わる知識の追求を愛すること。
「哲学と宗教の全史」出口治明(2019)参照
【こども哲学】ーまずは大人が説明してみる。
哲学はものごとを根本原理から統一的に把握・理解しようとする学問として定義づけられています。
「しようとする」なので、まだされていない過程であるのが哲学です。
では、〇〇ではない、と説明したとして、その後にどのように語ればいいのでしょうか。
語られている哲学を参考にしてみます。
例えば、ショーペンハウアーの哲学とか、ニーチェの哲学とか、誰かの哲学といわれます。
その人の哲学ということで、その人自体を基礎に置いています。
この場合の哲学は、その人なりの体系をさして〇〇の哲学というのです。
では、それがなぜ〇〇哲学という全体にならないのか、という謎がでてきます。
体系があるのに、ニーチェ哲学という学問にならないのはなぜ?
そのような疑問です。
その理由の一つは、哲学にはすべて否定がつきまとっているからです。
誰かが哲学を考え出したとして、考え出すからには基礎が必要になります。
しかし、哲学は基礎を疑います。
哲学自体が基礎を疑うので、基礎があること自体が矛盾になるのです。
ニーチェ哲学ではなく、ニーチェ学問となれば成立するのかもしれません。
それか、「哲学」という言葉に別の意味を持たせることで、「ニーチェ哲学」が成立します。
例えば、人が思想を語る時に「私の哲学」と言ったりしますね。
そのような言葉の使い方では、その「哲学」は成立します。
ただここで語る哲学とは違う意味を含むのでカッコつきの「哲学」にしました。
例えば、すごい!という言葉がいろんな意味を含むように、すごくないことをさして「すごい!」と言う。
または「可愛い!」と言っているけれど、実は可愛いという意味がなかったりします。
では、もう少し見ていきましょう。
基本的に語られる哲学
広辞苑を参照に見てみます。
①物事を根本原理から統一的に把握・理解しようとする学問。
②経験などから築き上げた人生観・世界観。また全体を貫く基本的な考え方・思想。
広辞苑 参照
主に〇〇の哲学という場合は、②に当てはまります。
人生観や世界観を映し出すからです。
では、①の哲学を語る場合、過程である哲学をこどもに説明するにはどうしたらいいのか。
それは、哲学は基礎を否定するのですが、その分、何を考えても良い自由な面があります。
哲学は否定されるのが前提なところがあるので、どんな意見も言うことができるのです。
「哲学って何?」と問うのも哲学です。
好きなものを初めに当てはめて、ゲームでないのが哲学といいました。
では、ゲームとはそもそも何で、それではないものとは何か。
このように子どもも考えはじめます。
何を考えてもいい。
言い換えれば、考えることが哲学とも言えます。
考えている過程が哲学になるからです。
【こども哲学】伝えるのが難しい理由
ここでは、伝えるのが難しい理由を3つ述べてみます。
①哲学は「真理」がない。
②人は否定を理解しにくい。
➂体系や基礎が一般的ではない。
哲学は「真理」がない
哲学はよく「真理」に到達しようとする学問ともいわれます。
物事を根本原理から統一的に理解しようとする、というのは「真理」を理解しようとする営みでもあるからです。
でも、少し困ったことがあります。
哲学では「真理」なんてない!
と、語られるのも哲学だからです。
本当のことをつきとめようとしても、その本当なんてない。
このこと自体が矛盾を含んでいるので、伝えるのが難しいのです。
人は否定を理解しにくい
人は否定を理解しにくい、と言われています。
脳自体の仕組みとしてそういう傾向がある。
〇〇がダメといわれることで、否定されている内容や行動をイメージしてしまうと言われています。
体系や基礎が一般的ではない
体系の話をしましたが、哲学はそれが一般的ではありません。
哲学を説明する際にも、ショーペンハウアーの哲学といえば、ショーペンハウアーが考えているので彼独自の言い回しや説明が出てきます。
その人の考え自体を理解しないといけなくなるので、全体を理解するのが大変なのです。
人一人を理解するということは大変だし、理解しているよ!と言われても疑いたくもなります。
自分でさえも自分がわからなくなることがあるからです。
ただそんなわかりにくい哲学でもありますが、哲学用語はあります。
哲学用語は一般化されているので、専門用語を知ればその人の哲学がわかりやすくなります。
【こども哲学】まとめ
こどもに哲学を教えるために、まず哲学に疑問を持たせてみます。
その際に、こどもが興味を持ちそうなものに対して、「〇〇じゃないのが哲学」と言ってみましょう。
こどもに興味のあるものから考えてもらうのです。
大人ですら難しい説明も、そのようにすれば楽しんで自由に考えることができます。
考え方の過程を楽しむ。
それが哲学をする一つになっています。