パーソナリティ

パーソナリティの形成と青年期の課題|高校倫理1章④

このブログの目的は、倫理を身近なものにすることです。
今回は
高校倫理第1章「青年期の課題と自己形成」
第1節「青年期の意義」 ④パーソナリティの形成と青年期の課題
を扱っていきます。
倫理は自分の生き方を学ぶ学問でもあります。
前回③「青年期の課題と心理学」をやりました。
>>青年期の課題と心理学
今回はパーソナリティの形成に注目していきます。
青年期の課題の一つはアイデンティティの確立
確立のために自分のパーソナリティを知ると、生きやすくなります。
ベストセラー作家橘玲さんも「『自分探し』というのは、突き詰めて考えるなら、自分のキャラ(パーソナリティ)とそれに合った物語を創造することだ。おそらくは、人生にそれ以外の意味はないだろう。」って書いてる!(スピリチュアルズ引用
ブログの構成
  • パーソナリティとは
  • 性格の類型論
  • 性格の特性論
  • 生きる意味

パーソナリティとは

パーソナリティは性格に社会的に獲得した性質をあわせたものです。

性格(キャラクター)とは感情による行動傾向のこと。

しかし、特に厳密な規定があるわけではなく、パーソナリティや人格を性格と呼ぶこともあります。

性格と知能の有無は区別されているよ!
パーソナリティは「遺伝」と「環境」の二つの要因からとらえられるアプローチがあります。

現代におけるパーソナリティの重要性(この段落は教科書からは外れます)

「遺伝」と「環境」と言われていますが、現代では「遺伝」の強さが行動遺伝学の研究によってあきらかになってきました。

橘玲さんのベストセラー「言ってはいけない」にはそのことが記述されているのです。

「言ってはいけない」の遺伝に関する個所を、元になった本の著者安藤さんがかいつまんで要約しています。

行動遺伝学と進化心理学の知見をふまえて、「ベルカーブ」と同じように現代社会の格差や不平等の根底に生物学的な根拠があることを、「ベルカーブ」ほど分厚くない新書の形でわかりやすく書いています。「日本人の9割が知らない遺伝の真実」(安藤寿康)

つまり、生まれつき足の速い人は練習しなくても早く走れる。

生まれつき足の遅い人はがんばっても足の速い人に追いつくことが難しい。

追いついたとしても、生まれつき足の速い人が練習すればそれを追い抜いてしまう。

このことを遺伝の観点から説明したのです。

現代は知識社会でもあって、これが知識にもあてはまるから「言ってはいけない」と言われているんだね
ただし、悲観的な面ばかりではありません。
遺伝的な観点からみれば、人間は生存できるように遺伝子を未来へ運んでいるのです。
未来の地球。
もしかしたら、酸素が薄いかもしれない。
山に登る能力が必要かもしれない、泳ぐ能力が重要視されるかもしれない。
何が起こるかわからない未来に、それぞれに困難を乗り切れる遺伝子をばらまいているのです。
つまり、現代の環境では「役に立たない」かもしれない能力も、環境が変わることによって才能が開花するかもしれない。
橘玲さんと安藤さんはそのことも踏まえて、自分の得意なことがわかるパーソナリティの発見は重要と述べているのです。
才能の発見とは、まだ発現していないものを発現させることよりも、すでに発現しているものの中に文化的・社会的価値を見出していくことだと思うのです
(日本人の9割が知らない遺伝の真実)

パーソナリティは現代心理学ではどのように分析されているのでしょうか。

パーソナリティを知ることで、アイデンティティも確立しやすい!
では教科書に戻ります。

パーソナリティ(性格)の類型論と特性論

パーソナリティを理解するには、一般に「類型論」と「特性論」によるアプローチが用いられます。

  • 類型論⇒性格を質で分離
  • 特性論⇒性格を量で分離

類型論から見ていきます。

類型論

類型論を唱えた一人は精神分析学者ユングです。

精神分析の祖フロイトの弟子でもあったユングは、世界各国に似たような模様や似たような神話があることを発見。

集合的無意識の領域があるのではないかと考えたのです。

それを人の心に応用。

人間には「内向・外向」があると説きました。

ユングによる内向・外交

  • 内向
    エネルギーが自分の内に向かうタイプ
    自分の内なる判断基準を重視
    消極的で社交的ではないが一人でも平気
  • 外向
    エネルギーが自分の外に向かうタイプ
    自分の外にある判断基準を重視
    明るく社交的だが、判断基準が周囲に左右されやすい
大まかに人間の全体像をつかむのに便利!

クレッチマーによる体系と気質

類型論は他にもクレッチマーが説きました。

性格(気質)と体型による分類ができると説いたのです。

クレッチマーによる体型と性格(気質)

  • 細身型⇒分裂気質
  • 肥満型⇒躁鬱(そううつ)気質
  • 闘士型⇒粘着気質

実を言えば、性格と体型による分類法は、現在ではあまり支持されていません。

!?じゃあなんで倫理で取り上げているのかな?
クレッチマーは脳科学と心理科学の密接性を説きました。
現代では、脳科学から気質傾向もわかったりするので知っておきたい分野。
脳科学と心理学の結びつきって当たり前に思えるけど、「あんパンと牛乳みたいに合う!」って発見した人は凄い!
クレッチマーの類型論をさらに発展させたシェルドンは、体型と脳の結びつきを説いています。
他にも類型論としてシュプランガーによる「社会的価値(理論型、経済型、審美型、社会型、権力型、宗教型)と性格」などが有名です。
類型論の問題点は特に二つ。
  • どの類型にも属さない人を無視してしまう
  • 性格を固定的で変わらないものとしてみてしまう

この欠点を補っているのが量で分析する特性論です。

特性論

特性論の代表は「ビックファイブ理論」

多くの心理学者に指示されている理論で、ゴールドバーグらが唱えました。

ビックファイブ理論⇒自分が他人にどう見えているかを想像して抱く観念
自分でも自分をある程度客観視できると言われているんだね!

ビックファイブ理論の特性因子は5つ

  1. 神経質傾向(情緒の安定性)
  2. 外向性
  3. 開放性
  4. 調和性(協調性)
  5. 誠実性(堅実性)

この一つ一つの特性によって、向き・不向きが見えてきます。

例えば、18世紀半ばに始まった産業革命によって、決められた作業を正確にこなす労働者が求められるようになりました。

ビックファイブの中の堅実性です。

堅実性の訓練システムを日本の教育で確立させた、もしくは元から日本人は堅実性が高かったので、社会的・経済的に当時の日本が急成長できたのではないかと言われています。

当時は堅実性が社会に合っていた!
特性論の問題点は、いかなる性格特性を取り上げるかによって記述が異なり、総合的な把握が困難になるという点です。

余談ですが、パーソナリティはAIによっても分析されていると言われています。

インターネットに自分の興味のある記事や広告が出てくるのは、あなたがそのようなパーソナリティだと分析されているからかもしれません。

アメリカ大統領選挙にもパーソナリティ分析は活用されたみたい(操られる民主主義

パーソナリティと生きる意味

青年期の課題であるアイデンティティの確立に対して、「自分は何をすればよいのかわからない」、「本当の自分がわからない」といった精神的な危機(アイデンティティの危機)におちいることを「アイデンティティの拡散」と言います。

その一つは、無関心、無感動、無為にすごすといった学生に特有な無気力症スチューデントアパシーです。

他にも、現代青年の課題としてフリーターニート、パラサイト‐シングルなどの問題も取り上げています。

青年期の課題を様々な視点から見てみよう

教育学から見る問題解決

アメリカの教育学者ハヴィガーストは、青年期の発達課題についての指針をあげました。

洗練された人間関係、社会的な役割の理解、情緒的な自立、経済的な自立、社会的責任のある行動、価値や倫理の体系学習から適切な科学的世界像の形成、などです。

課題を達成すると幸福感を感じやすくなるみたい

心理学からみる問題解決

心理学者アドラーは、人間の悩みはすべて対人関係の悩みであると考えました。
他者と比較をして憧れを抱いたり、劣等感にさいなまれたりします。
しかし、アドラーは述べます。
劣等感とは本来、自信と生きがいを生むために利用すべきものだ、と。
劣等感から自分の得意を知ったり、それを補ってくれる仲間を集めようとするんだね

キャリアからみる問題解決

自分らしさや自己イメージなどから、みずからの人生を設計していくことをキャリア開発と言います。
キャリア⇒職業生活を中心とする個人の経歴全体をさす
キャリア開発にはインターンシップ(就労体験)なども含まれるよ
自分のキャリアを考えることは、自分にとっての生きがいをつくりあげていくことでもあります。

「生きがい」を考えることによる問題解決

精神科医神谷恵美子は著書「生きがいについて」でこう語ります。

「自己の生存目標をはっきりと自覚し、自分の生きている必要を確信し、その目標にむかって全力をそそいで歩いているひとーいいかえれば使命感に生きるひと」が最も生きがいを感じる人である

さらに、生きがいには「はりあい」という意味も含まれると述べ、人間の持つ最も内在的な欲求として、自分の存在が他人にも受け入れられることを願う「反響への欲求」をあげています。

自分がしたことに対して反響があると嬉しくなる

「生きる意味」を考えることによる問題解決

オーストリアの精神医学者フランクルの著書「夜と霧」。

「夜と霧」は第二次世界大戦中にナチス・ドイツのユダヤ人強制収容所に収容され、極限状態を生き抜いた体験をまとめた本です。

自分の未来をもはや信じることができなくなった者は、収容所内で破綻した。

ーここで必要なのは、生きる意味についての問いを百八十度方向転換することだ。

ーもういいかげん、生きることの意味を問うことをやめ、わたしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。

ー考えこんだり言辞を弄することによってではなく、ひとえに行動によって、適切な態度によって、正しい答えは出される。

つまり、いかなる状況下にあっても、人間らしい尊厳に満ちた態度で生きていくことに人生の意味があると語っています。

フランクルは人生の意味を見出すことで心の治療(ロゴテラピー)を開始したよ
今回は「パーソナリティの形成と青年期の課題」を取り扱いました。
次回は第二章「ギリシア思想」に入っていきます。
>>自然科学とソフィスト
①人間とは何か
②青年期とは何か
③青年期の課題
④パーソナリティの形成(今回)
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