実存主義とは、具体的に生きている私のあり方を探求する思想です。(哲学用語図鑑 参照)
実存哲学の祖はキルケゴール(1813~1855)といわれています。
自分が望まれずに生まれてきた。
愛のない家庭によって生まれた。
そんな苦悩を抱えながら「私にとって真理であるような真理」を重要視しました。
「この私」だけの真理を追究します。
実存主義を用語として使えるようになりましょう。
実存主義の捉え方
生きることに意識的になるってなんだろう?
私たちは生きてるし、それを意識的だと思っています。
実存主義は「考える葦」に代表される人間の捉え方になります。
哲学者パスカルの述べた葦ですが、雑草をイメージして下さい。
葦に例えると、宇宙のレベルからいえば人間はほんとにちっぽけな存在です。
気がつかない砂の一粒くらいにちっぽけです。
でも、私たちは宇宙を知っていて、自分が死ぬ存在だということを知っています。
宇宙は逆に私を意識できません。
意識できない私を、私は意識できています。
どんな私でも、私は私に意識的になれているという思想が実存主義です。
- あなたが無意識的に列に並ぶ
- 他人に敬意を払うべきだと思う
- 善は正しいと考える。
どうしてそう思うとおもいますか?
意識的になると、こういう当たり前の規則も疑問になってきます。
一つ一つの出来事に、意識的になるとは謎を生み出すことです。
流れにそのままは従わない。
流れに逆らうような思想になります。
例えば、私が産まれたとして、その乳児である私は私という感覚を持って生まれてくると考えます。
乳児は自分で自分の身体のイメージを形作っていくと考えるのです。(鏡像段階とは違う)
「私は私自身を自分で作る!」
「自分で主体的に生きる!」
実存主義はこのようなイメージです。
実存主義の起源
フランス革命(1789年頃)以前に遡ると、実存主義という考え方はあまり広まっていませんでした。
結婚も仕事も決められたものだったからです。
絶対王政に従います。
可能性が限られていると、その外のことを考えたりはしません。
でも、その枠が外れると自由度が増します。
外に向けて考えたくなる。
世界は広いと実感します。
インターネットなど、人とのやり取りの制限がなくなると、そのことを意識させられます。
自由であることから、自分は何ができるのか挑戦したくなります。
そして、挑戦と引き換えに何に頼ったらいいのかわからなくなるので、不安になります。
神様にも、国家にも、頼れません。
なので、自分の苦悩を描く小説がでてきます。
カフカの「変身」を見ていきましょう。
実存主義の用例
この頼れなさを扱った小説として、私が虫になってしまう「変身」があります。
人間関係で頼るものがない、周りにはちっぽけな存在として扱われる。
ちっぽけな存在だけならいいんですが、さらに邪険にされてしまう虫です。
自分で行動すると、周りからは嫌がられてしまいます。
なぜかというと、この思想に対立するのは無意識的な決まりです。
構造の枠にはまっている思想です。
「そのようにするのが当たり前」
「みんながそうやっている」
そういう無意識的に成り立っている思想(構造主義)です。
それに対立するのが、実存主義です。
世間の常識から逸脱する意味を考えさせることが実存主義です。
自分の人生を自分で見つけるというとかっこいいんですが、共感を得られないことは承知しておかなければいけなくなります。
自我というものをとことん問い詰める思想。
私にとっての真実を探し求める思想になります。
「私ってなに?」
「それは自分が考えたもの?」
こんな問いを実存主義では繰り返します。
実存主義ーまとめ
実存主義とは、具体的に生きている私のあり方を探求する思想です。
「私ってなに?」 「それは私が決めたの?」 「私の考えはこうだ!」
このように私に関わる決定を主体的にしていきます。
私にとっての真実を考えていきます。